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  Hカップ以上の娘にありがちなこと 上級編

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掟の門

165 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 23:37:15 ID:AVW+GCy/0
掟の門前に門番が立っていた。そこへ田舎から一人の男がやって来て、入れてくれ、と言った。
今はだめだ、と門番は言った。男は思案した。今はだめだとしても、後でならいいのか、とたずねた。
「たぶんな。とにかく今はだめだ。」
と、門番は答えた。
掟の門はいつもどおり開いたままだった。門番が脇へよったので男は中を覗き込んだ。
これをみて門番は笑った。
「そんなに入りたいのなら、俺にかまわず入るがいい。
しかし言っとくが、俺はこのとおりの力持ちだ。
それでもほんの下っ端で、中に入ると部屋ごとに一人ずつ、順ぐりにすごいのがいる。
この俺にしても三番目の番人を見ただけで、すくみあがってしまうほどだ。」
こんなに厄介だとは思わなかった。掟の門は誰にも開かれているはずだと男は思った。
しかし、毛皮のマントを身につけた門番の、その大きな尖り鼻と、
ひょろひょろはえた黒くて長い蒙古髭を見ていると、おとなしく待っている方がよさそうだった。
門番が小さな腰掛けを貸してくれた。門の脇にすわっていてもいいという。
男は腰を下ろして待ち続けた。何年も待ち続けた。
その間、許しを得るためにあれこれ手を尽くした。くどくど懇願して門番にうるさがられた。
ときたまのこととだが、門番が訊いてくれた。故郷のことやほかのことをたずねてくれた。
とはいえ、お偉方がするような気のないやつで、おしまいにはいつも、まだだめだ、と言うのだった。
たずさえてきた色々な品を、男は門番に次々と贈り物にした。
そのつど門番は平然と受けとって、こう言った。
「お前の気がすむように貰っておく。何かしのこしたことがあるなどと思わないようにな。
しかし、ただそれだけのことだ」
長い歳月のあいだ、男はずっとこの門番を眺めてきた。
他の番人のことは忘れてしまった。
ひとりこの門番が掟の門の立ち入りを阻んでいると思えてならない。


166 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 23:38:31 ID:AVW+GCy/0
彼は身の不運を嘆いた。
はじめの数年は、激しく声を荒げて、のちにはぶつぶつと独り言のように呟きながら。
そのうち、子供っぽくなった。
永らく門番を見つめてきたので、毛皮の襟にとまった蚤にもすぐ気がつく。
すると蚤にまで、おねがいだ、この人の気持ちをどうにかしてくれ、などと頼んだりした。
そのうち視力が弱ってきた。
辺りが暗くなったのか、それとも目のせいなのか分からない。
いまや暗闇の中に燦然と、掟の戸口を通して煌くものが見える。
命が尽きかけていた。
死の間際に、これまでのあらゆることが、凝結して一つの問いとなった。
これまで終ぞ口にしたことの無い問いだった。
体の硬直が始っていた。
もう起き上がれない。
すっかり縮んでしまった男の上に、大男の門番が屈みこんだ。
「欲の深いやつだ。」
と、門番は言った。
「誰もが掟を求めているのに。」
と、男は言った。
「この永い年月のあいだ、どうして私のほか誰一人、中に入れてくれといってこなかったのだろう?」
命の火が消えかけていた。
薄れていく意識を呼び戻すかのように門番が怒鳴った。
「ほかの誰一人、ここには入れない。この門は、お前一人のためのものだった。
さあ、もう俺は行く。ここを閉めるぞ。」

2008年08月30日 | 感心・深い | コメント (15) このエントリーを含むはてなブックマーク
コメント
赤ちゃんの視点??
深い…。結局、掟なんてないんだぜって感じか。
カフカだっけ?これ。
>>9272-9273
この書き込みの違いはなんだwww
普通にいい読物。

>>9273
あってる。
分からない…男に掟を破って門に入る決意をさせるために門があったってことか?
誰かに入ってもいいよなんて言われるのを待ってたら死んでも入れないってことなのか?
結局彼の天国への門だったって事?
だから事切れるまで通れなかったの?
読解力のある人教えて
脳みそが程よく働いたわ。
カッコイイ
カフカのVor Dem Gesetzだったっけ?ドイツ語の教科書にあったな。
複雑で深いな…
結局「掟の門」は自分自身で乗り越えて行かなければいけない壁なのか?
そしてこの男は、それをせずに誰かの助けをひたすら「待つ」ことを選んでしまった?

今でいうニートに対しての訓辞にもとれるような…
掟の門は掟を守る人がいるから掟の門
死ぬまで掟を守った男の為の門
門番を倒したい人は、
太陽で眩しがらせればいいんだよ。
>9288
意味が理解出来た
ありがとうオリゴ糖

しかし、少し考えてみてほしい掟の門の先にはいったい何があるのだろうか?なぜ男は門の先へ行きたかったのか?
進む先に如何な困難が立ちふさがろうと潜らねばならぬ門


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