気まぐれへっどらいん

  Hカップ以上の娘にありがちなこと 上級編

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川の向こうから聞こえる声

702 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/03/12(木) 18:24:48 ID:ALK/TcaW0
怖いというか怖い思いをしてきた爺ちゃんのあまり怖くない話。
俺の死んだ爺ちゃんが戦争中に体験したって話だ。

爺ちゃんは南の方で米英軍とドンパチしていたそうだが、
運悪く敵さんが多めのとこに配置されちゃってジリジリ後退しながら戦う毎日があったそうだ。

話を聞いていた当時厨房の俺には、
日本軍なんて「突撃!」とか「玉砕!」とかやっているイメージだったので、
作戦で米英軍が進んでくるところをちょいちょい襲撃して進撃を遅らせながら、
こちらの被害は抑えて後退しながら戦うなんて意外だった記憶がある。

そうやってジリジリ後退していた爺さん達だが、
ある日、とうとう敵さんに部隊の位置を補足されちゃって、
爆弾やら砲弾やらがガンガン打ち込まれる事態になったそうだ。

必死で友軍陣地を目指して逃げたので、
仲間も一人二人と生死も判らないままはぐれて行き爺ちゃんも死を覚悟しながら移動したが、
後1日も移動すれば安全圏ってところで、近くに爆弾がさく裂して吹っ飛ばされたそうだ。


703 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/03/12(木) 18:25:50 ID:ALK/TcaW0
気がつくと友軍陣地なのか兵士が大勢いるところだったそうで、
「助かったのか?」って思ったそうだ。

そこは川に近い広場の様なところで、見覚えはなかったが、
大勢の兵士が寝転がったり雑談したりと大分前線からは離れた様な和やかな雰囲気だった。

爺ちゃんは衛生兵に自分の隊はどうなっているのか聞いてみたら、
川岸にたむろしているのがそうじゃないかって言われたのでさっそく行ってみた。

川岸に行くと隊長の姿は見えなかったが、
退却中に別れ別れになった仲間がいて、
爺ちゃんは結構助かった仲間が多い事に嬉しくなった反面、
3分の1位は姿が見えない事に悲しくなった。

そして、特に親しくしていた仲間と雑談しながらくつろいでいると、
川の向こうに見覚えのある兵士が大声で叫んでいるのに気がついた。

その兵士は大声で爺ちゃんの名字を呼んでいるので目をこらしてみたら、
どうやら同じ隊のAって人のようだ。

爺ちゃんはAが川の向こうにいる事を仲間に教えた。

704 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/03/12(木) 18:26:53 ID:ALK/TcaW0
最初は皆きょとんとして川の向こうに人影を探している様子だったが、
あんなにハッキリとAが見えているのに見つけられないようだった。

そのうち誰かが「あ~そういう事か~」と言って、
皆で爺ちゃんを担ぎ上げて、
「お前はあいつのところまで行ってこい!」とか、
「しっかり泳げよ!」
と言いながら慌てる爺ちゃんを川に放り投げたそうだ。

爺ちゃんは怪我人に酷い事をするもんだと思ったが、
あの退却でAも助かったんだと思うと嬉しいので痛みをこらえて川を泳いでいった。

向かいの川岸ではAが自分の名前を呼び続けているので、
声を頼りに近づいていくと急に激痛がはしり、
しまったワニか??と思ったらしい。

激痛で意識が飛びそうだと思ったとき、今度はベッドの上で気がついた。

さっきまでいた所ともまた違うどこかの友軍の陣地。

爺ちゃんは激痛をこらえながら衛生兵に聞いてみると、自分の目指していた陣地よりも更に先の場所だった。

衛生兵に「君の隊は大変だったな、背負ってくれた仲間に感謝しろよ。」
って言われて、爺ちゃんは色々聞こうとしたが、
今は寝ていた方が良いと取り合ってはくれなかった。


705 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/03/12(木) 18:28:07 ID:ALK/TcaW0
次の日、爺ちゃんは痛みと疲れでぼんやりとしているところにAが訪ねてきた。

Aは開口一番「お前は隠れて何か喰ってたのか?重かったぞ。」
って笑いながら嫌味を言ってきたそうだ。

爺ちゃんはAが運んでくれたんだと思いながら、
これでも痩せたんだと言い訳をした。

言い訳をしながらも心に引っかかる言葉が言い出せずにいると、
Aの方から「ウチの隊は今の所7名だ」と言った。

爺ちゃんはあの川岸で会った何名かの名前を口にしたが、
Aは上げた名前の人は誰も来ていないと言った。

そして今この陣地に居るのは、Aに聞いたところあの川岸に居なかった人たちだったそうだ。

爺ちゃんはこの話をしたときに最後にこんな事を言っていた。

「戦場に行けば死に花咲かさなきゃいかんとか話にはなるけど、やっぱ戦友には生き残って欲しいものだよ。みんな同じ気持ちだよ。」

爺ちゃんは8年前に亡くなってしまったが、あっちでは川岸の戦友さんと仲良くやってんのかな?

終わり。怖くなくてスマン。

2009年04月09日 | 不思議 | コメント (19) このエントリーを含むはてなブックマーク
コメント
あるもんだなあ
ちょっと感動した
>やっぱ戦友には生き残って欲しい

だよなあ。なのに3分の2もあっちに行っちゃって、しかも助けてくれて。ヤバイ今、鼻水出るくらい泣いてる…。
いい話だなぁ…
いい話だな。

てか戦時ってこういう話よく聞くよな。。。
何か関係あんのかな。
(´;ω;`)
泣いちゃった
>>42896
不思議だよねー。自衛隊は怖い話が多いもんねw

しかし、不思議且ついい話だなぁ。
泣けるなぁ・・・
いい話ではあるけど、戦争は絶対したくないな
泣いた…。
ワラタ話の比率が高いブログのくせに、
印象に残るいい話と泣ける話が多いな。不思議タグの意味はいまいち理解出来ないけど。
不思議な体験話だよな。一蓮托生だったから、戦友達が生への道へ導いてくれたんだな。

>>42908
サラっと文句言うな。
彼岸ってやつかな。
向こう岸に生者の声は届くんだね…。
生き残れるように送り出してくれた戦友に泣けた(;ω;)
三途の川の対岸から声がするとだいたい引き止めるパターンの中のこの裏切りには涙せざるを得ない
あー、そういうことか、って言うのん気さが逆に涙を誘うわwww
いい話だ

でももし俺が爺ちゃんの立場で、
自分を生き返らそうとしてるのがわかったら
「またあの苦痛と殺し合いの世界に戻さないでくれ
この和やかな空気の中、お前らと一緒にいさせてくれ」
と懇願してしまってたと思う
昔の人の精神というか団結力というか、うまく表現できないけど強かったんだろうな。

今だったら川岸の人が「なんでお前だけ」とか言って離してくれなかったり・・・
2009/04/10(金) 09:42 | No.42958 | URL |   #-[ 編集]
現世に未練が無ければ、Aの声も聞こえなかったんだろうな。
2009/04/10(金) 10:26 | No.42960 | URL |   #-[ 編集]
爺さんが言うようにやっぱ戦友には生き残って欲しいものなのかもな
だから亡くなった人も快く送り出したんだろうね
>>42896
うちの曾爺ちゃんも戦争行ったんだけどさ、
戦場ではあの世がすぐそばに来るんだってさ
だからじゃないかな
ある意味、レス主も爺ちゃんの戦友に助けられたんだよな
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