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228 名前: おさかなくわえた名無しさん [sage] 投稿日: 2005/09/07(水) 02:20:51 ID:04p2dmsJ
消防の頃、俺達の遊び場は近所の公園だった。
そこに結構な頻度で「おじさん」がいて、ベンチに座ってこっちを眺めてたんだ。
何がきっかけかは覚えてないが、「おじさん」と仲良くなった俺達は時々「おじさん」と遊んだ。
でも「おじさん」はすぐ疲れちゃって、サッカーもすぐぬけるし逆上がりもできなかった。
「年だからなあ」と笑いながらベンチに戻っていく後ろ姿は、本当にただのおっさんだった。
ある日リフティングをしていたら、珍しく「おじさん」が熱中した。日が暮れるまで一緒にいた。
始めはボールを落としまくっていて、「おいおいしっかりしろよ」といぶかしんでいた俺達も、
汗まみれになりながら22回までできるようになった「おじさん」をすごいと思うようになっていた。
ただのおっさんがガキに混じって真剣にリフティングしてるなんて、周りからしたら滑稽な光景だろう。
でも、「おじさん」は真剣だった。そのことが俺達を感動させたんだと思う。
23回目でボールを落とした「おじさん」に駆け寄って「おじさんすげーよ!」とみんなで言った。
「おじさん」は「そうか、すごいか」といつもより嬉しそうに笑った。俺達は「おじさん」に敢闘賞として
当時流行っていたドラクエのバトル鉛筆をあげると「ありがとな」と言って「おじさん」は帰っていった。
次の日から「おじさん」は公園に来なくなった。
「おじさん」はヤクザで、あの翌日に抗争相手の組の事務所に拳銃持って乗り込んで刑務所送りになった、
ということはしばらく後に知った。新聞にも載ったらしいが、文字ばかりだったことしか覚えていない。
「おじさん」は公園で遊ぶ俺達を眺めて何を思ったのだろうか。
あんなに一生懸命リフティングをしながら何を考えていたのか。
22という数字は俺にとってお守りみたいなものだ。
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