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384 :おさかなくわえた名無しさん :04/03/04 01:08 ID:4QgsxWgR
私は吹奏楽部でクラリネットのパートリーダーをやっている。
高校三年で最後の定期演奏会が学校の体育館であった。
私は演奏会のことを両親に話してはいなかった。
当時のうちの家庭事情は悪いほうで、普段の生活でも両親との会話はまったくなかった。
むしろ私は家が嫌いだった。
演奏会当日、少し緊張しながら音出しをする教室に向かった。
教室にはすでに多くの仲間がいて、それぞれ音出しをしていた。
そのほとんどは両親から楽器を買ってもらっていた。
私はおじさんから借りている楽器にマウスピースをさした。
いよいよ本番。
演奏会はポップスステージまで進み、いよいよ私のソロが迫った。
ステージの前まで行くとそこには両親の姿が!
私は驚いてうまくソロに入ることが出来なかった。
今までになかった大失敗。
演奏会が終ってから両親が私の元へ来た。
「一人で吹くとこは残念だったけど、とても素晴らしい演奏会だったわ」
少し申しわけなさそうな顔で母が言った。
「あんた達がいたからだからね! なんで勝手に来るのよ!」
なんだか母は酔っているかのように、ロレツがまわっていなかった。
385 :おさかなくわえた名無しさん :04/03/04 01:08 ID:4QgsxWgR
数年後私は東京の大学にいた。
もう楽器はやめた。
あの時の恥ずかしさが忘れられなくて。
ある日講義の合間に友達と話しているとケイタイが鳴った。
番号を知らないはずの父からだった。
「母さんが死んだよ」
私は電車に揺られ、実家に帰った。
そこにはシワだらけの父と、真っ白な母がいた。
他に誰もいなかった。
母は鼻に脱脂綿を詰められて少し苦しそうに見えた。
「お母さんこんな顔だった?」
東京へ出てから一度も実家には帰っていなかった。
「母さんなぁ、耳の癌だったんよ。もう聞こえなくなってずいぶん経ってたんよ。
普通は猫の病気らしいんだけど、母さん運悪かったんだなぁ」
じゃあ、あの演奏会のときも聞こえてなかったの?
聞こえてないのにソロ入れなかったのわかったの?
母には聴こえていたんだ。
私達の音楽が聞こえていたんだ。
私は改めて母の顔を見た。
ふと目を横にやると棺には、おじから借りっ放しだった私のクラリネットが添えられていた。
私の耳にはあの時失敗したソロが聴こえている気がした。
私は泣いた。
母の耳元で泣いた。
« 彼女が寝てる隙にいたずらしたら・・・ l ホーム l ごめんね »
どんな事情であれトチんのはてめーが練習不足だからだろーがよ
それをオーディエンスのせいにするなど不愉快極まりない。
音楽をヤる資格などない。
大衆の心に響く演奏など出来るはずもない。
こういう奴は、自分がなぜ音楽を始めたのか、深く考えてみるべきだ。