932 ('A`) 2008/09/10(水) 17:25:02 0
徳川家康の有力な家臣である牧野康成の元に、商人が茶壷を売り込みに来た。
商人曰く、これは大変に貴重な茶壷だという。茶のことを良くわからぬ牧野、これに大金を払って買い取った。
が、後にこれは真っ赤な贋物と判明。牧野はやすやすと大金を巻き上げられたのだ。
それを聞いた太閤秀吉。牧野をその茶壷とともに呼び寄せた。
「こんな贋物をつかまされたのか!わしが見ても贋物だとわかるわ!おぬしも馬鹿じゃのう。」
「はあ、まったく。馬鹿でございますなあ…。」
あまりにがっかりしている牧野を気の毒に思ったのか秀吉、
「よいよい。お主ほどの侍がこんなことで損をするのは、この太閤が許さない。」と、茶壷の代金に加え、
黄金一枚を添えて、牧野に下したのだ。
これを主君家康に報告すると、家康も面白がって、「なんと、贋の茶壷が金を産んだわ」
そしてこの茶壷は、「科銭の壷」と呼ばれ、天下に喧伝され、牧野家の家宝とされた。
贋物が、本当の銘物になってしまったお話。