このヘッドラインはNEWs保存道場が気まぐれでお勧めブログを紹介してます。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
457 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2008/11/15(土) 16:39:35 ID:JUL2/4z8
大阪冬の陣が始まろうという頃
杉野右馬允の家臣に山本才助という者がいたが、その才介の召し使っている老女に、
この年18になる、三之助という者がいた。この若者が、主人が出陣するのなら、
自分も是非連れて行って欲しいと、そう言って来た。
才介は「年老いた母がいるのだ、国元に居ろ」と言ったが、その母も
「武家に奉公している者は、戦の時は主人の共をして出陣するものです。私の事は心配せずに、銅か息子の願いを聞いてください。」
そう頼むので、従軍する事となった。
そして大阪に着き、合戦が始まった。大阪城から数百丁の鉄砲が、一斉に放たれた。
とたん三之助は、
逃げた。
初めての戦場と大量の鉄砲の音、緊張と恐怖でわけがわからなくなり、戦場から逃走したのだ。
故郷の屋敷に、ボロボロの姿で現れた三之助を見た母親は驚いた。
「もしや、ご主人が討ち死になさったかい!?」
「いいや、ご主人にはなんにもなかったけど、大阪城からの鉄砲の音を聞いて、天地が崩れるかと思って一目散にここを目指して逃げてきた。途中で金がなくなり、乞食をしながらやっと帰りついた」と、答えた。
母は最初の驚きが過ぎると、だんだん腹が立ってきた。
「お前のような者とは親子の縁を切る!これが今生の別れだ!」と、金を渡して屋敷を追い出した。
大阪冬の陣は、和議が成った。
杉野軍も国許に戻った。さて、母に追い出されて十日後、あの三之助がまた屋敷に戻ってきた。
母はまた彼を叱り飛ばし、追い出そうとしたが、屋敷に帰っていた山本才介がそれを聞きつけ、三之助を呼んだ。
「お前はどうして逃げたのだ?」
銃の音で怖くなって逃げた。その顛末を正直に話した。「追い出されたけど、どこにも行く所はありません。お手打ちも覚悟の上で戻ってきました。」
山本才介は何も言わず、三之助を元のように召抱えた。
さて、和議は壊れ、夏の陣が起こる。杉野家も出陣が決まった。
三之助はまた、従軍を願い出た。「また鉄砲が鳴るぞ?」才介は笑って言った、母も今度は強く反対したが、三之助は真剣だった。才介は、従軍を許した。
天王子、岡山での最後の決戦、山本才介と三之助、そしてもう一人の従者は、
城に引き上げようとしていた敵の騎馬武者三人に追いつき、攻撃を仕掛けようとした。
しかし城内から鉄砲を撃ちかけられ、従者が腰を撃たれ、斃れた。
残るは、才介と三之助の二人だけである。才介は勇敢に騎馬武者に向かっていったが
ついに取り逃がしそうになった。その時、
三之助の猟銃が放った弾が、騎馬武者の一人に当たり、落馬させた。
山本才介はその首を取り、見事、手柄を上げた。
冬に逃げた三之助が、それを許した恩に報い、夏に主人に手柄を上げさせた。そんなお話。
« エヴァンゲリオンの原案 l ホーム l アメリカンドッグから学ぶこと »
最後の行まで読んでそのコメント?
…で?
(´∀`)
逃げ出してリベンジって言ったら、仙石がおるしなー
勝負は時の運って言うし、たまたま手柄を上げる事が出来ただけと取られてもおかしくはない
びっくりして逃げ出した人って結構いるみたいだね。
関が原からずいぶん経ってるし、しょうがないか。
あとこの物語での一番の立役者は、母ちゃんだと思う。
一斉に撃たれた鉄砲の音にたまげる事もあるだろうな。
勿論、運に左右された手柄なんだが、下っ端の従者でも「懸命に生きる時代だった」、ってエピソードなんだと思う。
まず面白いだろw
それを許した山本才助ってのも、武士のくせしてお人好しというかマヌケで面白いw
そんなのほほんコンビで手柄を上げちゃったってのと、
ビビりの三之助が立派に恩返しをしたってのが、話の面白いとこだと思う。