602 名前: 132人目の素数さん [sage] 投稿日: 2008/10/29(水) 21:40:16
五年後。
ハイスクールに進学し、高等教育を学ぶようになった息子がふと思い出したように言った。
「そういえば父さん、昔僕が微分に関する公式を塾で教わってきた事があったよね」
「ああ、そんなこともあったなあ」
息子はため息をつき、肩をすくめて続ける。
「まだ幼かった僕は微分がどういうものなのかすっかり分かった気になっていた。でも今思えばとんだ心得違いだったよ」
「ほう」
「あのとき確か父さんは僕に何か質問をしたね?それはなんだったっけ?」
「何だお前、覚えてないのか。lim[x→0](sin(x)/x)はいくらか、そして何故そうなるか説明できるかと聞いたんだ」
「そうそう、そうだった」
「ちなみにお前は『ゼロで割っちゃいけないんだよ』と答えていたな」
それを聞いて息子は頭を抱え、照れくさそうにした。
「ええっ。僕そんなこと言ったの?我ながら何も分かっちゃいないな……」
「今のお前ならこの質問にも答えられるだろう」
「もちろんさ。まず極限値は1だ」
「ほほう。ではなぜそうなる?」
息子はまっすぐ父を見据え、力強く答えた。
「ロピタルの定理より、(与式) = lim[x→0]((sin(x)')/(x)') = lim[x→0](cos(x)/1) だからさ!」
関連:パパ、僕は今塾で『びぶん』を習っているんだよ!